ドリアン研修日記

ドリアン研修日記〜ドリアンのパン〜

ドリアン研修日記〜ドリアンのパン〜
研修生になって知ることのできたドリアンのパンのことと、本(捨てないパン屋)に書かれていた「手を抜く」ということを、自分なりの視点でまとめました。

結論から言いますと「手を抜く」は、本の通りでした。研修に来る前は、正直本の内容で信じられない部分もありました。種類を減らして具を入れず大きく焼く。確かに手は抜いていると思います。でも、ネガティブなイメージの手抜きとはだいぶ違うと思います。ドリアンのパンは、生地の種類で主に3種類(季節によってちょっと変わる)です。なので、労働時間が短くても必然的にひとつの生地とゆとりを持って接することができます。ひとりの先生が30人の生徒を見るのと3人の生徒を見るのでは、目の行き届き方が違う、そんな感じです。どちらが良いとか悪いとかではありません。30人に集中できる先生もいると思います。ただ、自分にはこのやり方が向いていると思ったし、師匠と話をしながら生地がどうなりたいのか、微調整をしてより良い方向に向かう作業がすごく楽しいです。正直、材料が抜群に良いのでどうしても美味しいです。ただ、素敵に手を抜くの意味を実際に体験できたこどで、今まで長い時間を費やして手をかけていたことが、お客さんにとってどれだけ意味があったのかと考えるきっかけになりました。「手を抜く」ことの効果は絶大でした。

それともうひとつ。研修の日々の中でドリアンのパンに対するイメージも変わりました。研修生は基本的に試食も兼ねてパンは食べ放題です。通販でパンを買っていた時はなかなかできなかったんですが、最近はあえて1週間常温に放置したりしてます。本当に日持ちするのか、半信半疑でしたが、びっくりするぐらい日持ちします。好みもあるかと思いますが、むしろ1週間経ってからの方が美味しいです。3週間ぐらいは味も変化しつつ、余裕でずっと美味しいです。それと、いろんな料理を受け止める力がハンパないです。チーズ・ワイン・ハム・コーヒーはもちろん、個人的には日本酒と味噌汁とカンパーニュも好きです。アミノ酸とアミノ酸がスパークするとニヤケます。研修が始まってから、ほぼ毎日ドリアンのパンを食べてますが、絶好腸だし、パンが美味しいだけで毎日幸せです。師匠がある日パン職人について言った言葉で「良質な食料を届ける人」という好きな言葉があります。自分もそうなれればと思っています。あんパンやクロワッサンも好きですし、美味しく作れる人を尊敬しています。熊本でイベント出店していた時は、フォカッチャやシナモンロールも焼いていました。独立して種類を減らしたら、つまらなくなったと思われてしまうかもしれませんが、本当に届けたいパンがあることに気付いてしまったのでご理解ください。

ドリアンのパンづくりは、確かに大きな意味で手は抜いているかもしれませんが、仕事は丁寧で無駄がないです。それと、仕事中は師匠とたくさん話せて楽しいです。けれど、日々の仕事はわりとハードです。その辺の研修生の日々のことは、また次回にでもまとめたいと思います。

多くを望まなければ、幸せは意外と身近にあるということを日々痛感しています。今の生活はちょっと恵まれ過ぎていますが。この幸せを与えられる人になりたいです。