ドリアン研修日記

ドリアン研修日記③

ドリアン研修日記③
次の研修生の募集が始まってます。卒業が近づいてきました。応募の作文を書いたことを遠い昔のように感じます。過ぎた時間はあっという間でも、日々は濃密で有意義です。研修生がどんな生活を送っているか、興味のある方は読んでみてください。

研修生は、工房の2階にある研修生部屋(通称トラの門)に住み込みで働いています。これがすごく良いです。合宿のような。(基本ひとりですが)生活がなんとなくピシッとします。ストレスにはなりません。むしろ嬉しい。窯の前はほんのり温かく、冬は読書がはかどります。研修生は、無料ですが無給です。でも、3ヶ月経って感じるのは、むしろ授業料を払った方がいいぐらい学ぶことで溢れています。研修生活でお金がかかることはあまりありません。朝以外は基本的に自炊ですが、厨房が使えます。窯の余熱でパンを焼き戻し、目玉焼きを焼いてコーヒーを淹れる。これだけでも幸せです。お風呂も洗濯機も借りれて、Wi-Fiも繋がるので生活で困ることはないです。

日々の仕事は、だいたい朝の4時からスタート。窯に着火し、仕込みをして、パンの窯入れが終わった頃にみんなで(日によってふたりだったり見学の方と大勢だったり)朝食をとります。そんなにのんびりはできないけど、この時間が好きです。師匠のお母さんが作る朝食は毎日美味しいし、一緒に食べる相手がいるのは幸せです。

窯からパンを出して、仕込んだ生地を成形して、翌日の計量と掃除をしたら仕事はほぼ終了です。余裕がある時は、そのまま工房でコーヒーを飲みながら話したり、時々お昼を食べに行きます。(蕎麦屋の高田さんやうどん屋のわだち草さん…たまらなく美味しいです)

日々の仕事は、8時間かからないことが多いです。休みが増えた分ちょっと過ぎる日もありますが、一週間で考えたら本に書いてあるより労働時間は更に短いです。短いけど、ギュッとしています。本当に無駄が少なくて、そこも実際に来なければわからなかったし、勉強になります。労働時間を短くして、残りの時間を有意義に過ごせる事は素晴らしいです。元気な身体があっての仕事、なんて事は当たり前のことですが、その大切さを身に染みて感じてます。

仕事終わりや休みの日は基本自由です。近くを走ったり、本を読んだり、映画を観たり、飲みに行ったり。(危険なぐらい美味しいお店があります)ギュッと働いて、しっかり休んで、人間してるなあって感じます。休みが増えたことでパンに携わる時間も、師匠といる時間も減るのは残念だと思っていたけど、意外と逆で。余裕ができた分、パンのことも深く考えられるようになったし、師匠と出かけられる時間もパン以外のことを学ぶ時間も増えてます。(酔った師匠は更に面白いです)ざっとですが、研修生活はこんな感じです。

ぼくは、ドリアンで初めての5ヶ月研修生です。3ヶ月以上が過ぎて感じるのは、5ヶ月あって良かった。です。それぞれのタイミングがあるし、人によっては3ヶ月でもぼくの5ヶ月分ぐらいの濃厚な時間になる人もいるんだと思います。長くいれば良いわけではないけど、師匠と沢山の時間を過ごす中で、技術だけじゃない大切なことも分かりつつあります。師匠のパンに対する想いはものすごく熱いです。そばにいるだけで刺激になります。最近になって技術や、パンに対する考え方も、深みを増してきた気がします。(ぼくの成長は遅いです)独立してからも学ぶことは多いだろうけど、その時の判断基準みたいなものは、師匠という大きな存在が自分の中にあるだけで、全く違ってくるはずです。卒業するまでには、きっとその柱が建っているはず。もう建っているかも。

誰もが掴めるチャンスではないけれど、機会は平等なので。ドリアン研修は本当におすすめです。たくさんの卒業生が生まれて、繋がって、情報交換をしたり、時々飲んだり。全国各地で面白く広がったら嬉しいです。ぼくは熊本で。

卒業後のこと、卒業生としてこうしていきたい、みたいなことを次回は書きたいと思います。